給与と消費税

2019.09.06

10月に予定されている消費税の税率改定ですが、通勤手当を支給している場合には、給与事務においても対応が必要となります。

対象としては、定期代を通勤手当として支給している場合だけではなく、往復運賃を登録して出勤日数に応じて通勤手当を実費支給している場合なども登録運賃の改定対応が必要となります。

9月30日までに購入してもらう定期代や実費として利用した運賃について後払いする場合は、10月1日以降の支給日であっても税率改定前の通勤手当を支給すれば問題ありません。
もちろん、10月1日以降に購入する定期代や実費として支給する運賃については税率改定後の定期代等を支給することになります。

改定後の定期代や運賃の確認方法についてはいくつかの方法が考えられますが、下記の方法を採用する会社が多いのではないかと思われます。

・従業員に通勤手当の申請書を再提出してもらう
・会社で調べた改定後の通勤手当を従業員に通知する

会社と従業員双方で確認する方が良いとは思いますが、事務負担や時間的制約なども考慮して方針を決定する必要があります。
定期代については1カ月定期だけでなく、3カ月定期、6カ月定期を支給している場合も多いかと思います。その場合は、そのタイミングで確認をすれば良いことになります。

また、支給後の事後処理として、社会保険の報酬月額変更届の提出対象となるかの確認が必要になります。

定期代や運賃の単価が変わると、「固定的賃金の変動」という、社会保険料の見直しをする条件のひとつに当てはまることになります。変動後3カ月間の標準報酬(社会保険料の計算の基礎となる報酬)が変動前の標準報酬等級と比較して2等級以上変動すると届出が必要となります。

これらの条件に当てはまるかについては、それぞれの新しい通勤手当の支給のタイミングごとに3カ月間の起点が変わりますので、その管理が非常に煩雑になり注意が必要です。

また、通勤手当には所得税法上の非課税限度額が設定されています。

公共交通機関の利用でこの限度額を超えることはあまりないかと思いますが、ガソリン代などを実費支給しているなどの場合には、税率改定後に支給額が非課税限度額を超える可能性もあります。その場合には、超えた分を課税通勤手当として所得税計算に含める項目に振り替える処理が必要になりますので注意が必要です。

なお、通勤手当の支給は義務ではないため、厳密には会社ごとの基準や対応に委ねられますが、一般的な対応方法として参考にしていただければと思います。

給与と消費税は一見接点がなさそうに見えますが、事務処理としては影響を受ける場面があります。
頻繁に遭遇する業務ではありませんが、ぜひポイントを押さえて対応していただければと思います。