給与明細書の読み方(前編)

2019.08.15

前回の記事では、給与明細書がなぜ必要なのかについて書かせていただきましたが、今回は、その読み方について書いてみたいと思います。

各項目の名称や内容については会社ごとに異なりますので、一般的な例としてご理解いただければと思います。また、各項目の説明内容についても様々な例外規定があります。今回は原則的な取扱いを中心に記載していますので、この点についてもご了承ください。

給与明細書の構成は大きく分けて「基本情報」、「勤怠項目」、「支給項目」、「控除項目」、「差引支給額」の5項目です。その他にも「累計額」や「お知らせ欄」などがある場合もあります。

前編では「基本情報」と「勤怠項目」について書いてみたいと思います。

基本情報

「〇〇月分給与」
「支給日」
「氏名」
「社員番号」
「所属部署」
「役職」
「職種」など…

この欄には給与明細書の対象についての情報が記載されます。

「〇〇月分給与」
 この給与明細書の対象となる年月の表示です。通常は支給日の属する年月が表示されますが、給与計算の締日が属する年月を表示する会社もあります。

「支給日」
 この給与明細書に記載された給与が実際に支給される日です。
もうひとつ、給与計算には締日という日付項目があります。こちらは給与計算の対象となる勤怠期間のことを指します。例えば、毎月1日から末日までの勤怠期間を「末日締め/末締め」と呼びます。そして、その給与を翌月の20日に支払う場合は、「末締め翌月20日支払い」と呼びます。

勤怠項目

「出勤日数」
「休日出勤日数(法定/法定外)」
「欠勤日数」
「遅刻回数」
「労働時間数」
「残業時間数(所定外/法定外/60時間超過)」
「深夜労働時間数」
「有給休暇取得日数/残日数」など…

この欄には対象となる勤怠期間の集計結果が記載されます。

「休日出勤日数」には法定休日と法定外休日があります。労働基準法では、労働者に週1回あるいは4週を通じて4日の休日を与えなければならないとされています。この休日のことを法定休日と呼びます。法定外休日は、法定休日以外の会社の所定休日です。なお、法定休日に出勤した場合には、時給単価を35%以上割増した残業手当が必要になります。

「残業時間数」には所定外残業時間と法定外残業時間があります。労働基準法では、労働者に休憩時間を除いて1週間について40時間、1日ついて8時間を超えて労働させてはならないとされています。これを超えた労働時間が法定外残業となります。また、1日の所定労働時間が7時間の場合は、1時間残業をしても8時間を超えないので、その1時間は所定外残業時間となります。
法定外残業の場合には、時給単価を25%以上割増した残業手当が必要になります。所定外残業の場合には、時給単価そのままの残業手当が必要になります。
なお、法定外残業については、60時間を超えると割増率が50%以上となりますが、中小企業は2023年4月からの適用となります。

「深夜労働時間数」は22時から5時までの労働時間です。この時間帯の時給単価は25%以上の割増が必要となります。

「有給休暇取得日数」については、年10日以上の付与がされている人を対象に5日以上の取得が義務化されています。計画的に取得ができているか、残日数と一緒に確認しましょう。

支給項目
「基本給」
「役職手当」
「勤務地手当」
「住宅手当」
「資格手当」
「休日手当」
「残業手当」
「深夜手当」
「夜勤手当」
「通勤手当」など…

この欄には勤怠期間の給与計算結果が記載されます。

「基本給」など、毎月一定額を定期的に支給する項目を固定項目といいます。
定額手当の「役職手当」や「勤務地手当」なども固定項目に該当します。通常は労働条件通知書や給与辞令などに金額が記載されていますので、正しく反映されているか確認をします。
時給者や日給者の場合は、時給単価や日給単価と労働時間数や出勤日数の計算結果が、基本給に正しく反映されているか確認をしましょう。

「休日手当」、「残業手当」、「深夜手当」などの項目は、勤怠の増減によって金額が変わるため変動項目といいます。
勤怠項目の集計結果が各手当に正しく反映されているかを確認しましょう。

 残業手当の計算根拠となる時給単価は、固定項目の給与額を月間所定労働時間数で除して算出します。計算から除外できる手当は家族手当や通勤手当など一部手当に限定されていますので、それ以外は含めて計算します。
なお、「固定残業手当」など一定の残業相当分として支給している手当は、固定支給であっても残業手当なので時給単価の算出には含めません。
月間所定労働時間数は就業規則などに記載されているか、給与明細書に記載されている場合もあります。

例)基本給:250,000円、役職手当50,000円、月間所定労働時間160時間
  (250,000円+50,000円)÷160時間=1,875円 ←時給単価
   1,875円×1.25=2,344円(端数1円未満を四捨五入) ←残業単価(25%割増)

「通勤手当」には課税通勤手当と非課税通勤手当があります。
 非課税通勤手当は電車やバスなどの公共交通機関の場合には月15万円まで、自動車などの場合には距離に応じて所得税が非課税となります。非課税の範囲を超えた通勤手当を支給する場合には、その超えた分が課税通勤手当となります。

ぜひ、この機会にご自分の給与明細書を確認してみてください。
次回は「控除項目」などについて書きたいと思います。