ワクチン接種と労働時間

2021.07.16

新型コロナウイルス感染症の感染拡大予防策として、集団接種や職域接種などのワクチン接種が徐々に広がっています。

ワクチン接種は業務ではありませんが、接種の時間や副反応が出た場合の労働時間の取扱いや休暇の付与を会社や職場としてどのように考えればよいのでしょうか。厚生労働省からは以下のような見解が公表されています。

「職場における感染防止対策の観点からも、労働者の方が安心して新型コロナワクチンの接種を受けられるよう、ワクチンの接種や、接種後に労働者が体調を崩した場合などに活用できる休暇制度等を設けていただくなどの対応は望ましいものです。
また、①ワクチン接種や、接種後に副反応が発生した場合の療養などの場面に活用できる休暇制度を新設することや、既存の病気休暇や失効年休積立制度(失効した年次有給休暇を積み立てて、病気で療養する場合等に使えるようにする制度)等をこれらの場面にも活用できるよう見直すこと、②特段のペナルティなく労働者の中抜け(ワクチン接種の時間につき、労務から離れることを認め、その分終業時刻の繰り下げを行うことなど)や出勤みなし(ワクチン接種の時間につき、労務から離れることを認めた上で、その時間は通常どおり労働したものとして取り扱うこと)を認めることなどは、労働者が任意に利用できるものである限り、ワクチン接種を受けやすい環境の整備に適うものであり、一般的には、労働者にとって不利益なものではなく、合理的であると考えられることから、就業規則の変更を伴う場合であっても、変更後の就業規則を周知することで効力が発生するものと考えられます。
こうした対応に当たっては、新型コロナワクチンの接種を希望する労働者にとって活用しやすいものになるよう、労働者の希望や意向も踏まえて御検討いただくことが重要です。
※常時10人以上の労働者を使用する事業場の場合、就業規則の変更手続も必要です。」

既に労働時間の中抜けや会社が必要と認めた場合の特別休暇の制度が就業規則にあれば、その適用範囲に今回のワクチン接種を含めて運用することも考えられます。
就業規則の変更が必要な場合でも、中抜けの容認や特別休暇の創設等は労働者にとって不利益とは考えにくい変更ですので、通常の就業規則変更の手順に沿って変更周知を行うことで有効になると考えられます。

【厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」】
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html#Q4-20