スタートアップ支援と社労士

2019.12.05

スタートアップ企業を支援する士業や団体は様々です。税理士や中小企業診断士、商工会議所や法人会など、それぞれの強みや得意分野で悩み多きスタートアップ企業の経営者をサポートしています。

そんな中、社労士はスタートアップ企業にどのような支援ができるのでしょうか。

 

社労士に依頼するタイミング

社労士の出番の多くは、他の士業や団体が登記や資金調達などで関わったその後のタイミングになるかと思います。これは社労士に頼んだ方がいいかな?と考えはじめるポイントは下記のタイミングが多いのではないでしょうか。

・会社を設立したとき
・従業員を雇用したとき
・常時雇用する従業員が10人になったとき
・労務管理が負担になってきたとき

それぞれのタイミングで、社労士が支援できる内容を簡単にご説明します。

 

・会社を設立したとき

【社会保険の新規適用申請代行】

社会保険(健康保険と厚生年金保険)の適用事業所となる要件は、会社を設立しただけでは満たしません。役員や雇用した従業員が社会保険被保険者の要件を満たしたときに、社会保険に加入する義務が生じます。会社を設立した時点では役員報酬を設定せず従業員も雇用しない場合は、設立時点での加入義務は生じません。なお、役員報酬が0円でも従業員を雇用した場合には、その時点で社会保険の適用事業所となります。また、個人事業主でも業種や従業員の雇用人数によって適用事業所(業種や従業員の人数によって任意または強制)になります。これらの手続きを社労士が代行して行います。

 

・従業員を雇用したとき

【労働保険の新規適用申請代行】

従業員を雇用すると、労働保険(労災保険と雇用保険)の適用事業所になります(雇用保険の加入は一定の要件を満たす従業員を雇用した場合になります)。労働基準監督署と公共職業安定所(ハローワーク)にそれぞれ届け出ます。会社設立時から従業員を雇用してスタートする場合は、社会保険の手続きと合わせて労働保険の手続きを行います。社労士に依頼をすれば、忙しい経営者に代わってまとめて手続きを行います。

 

・常時雇用する従業員が10人になったとき

【就業規則の作成支援】

常時雇用する従業員が10人以上となった場合には就業規則を労働基準監督署に届け出る義務が発生します。しかし、10人未満であっても就業規則を整備するメリットは多く、早期に社内ルールを明文化することで職場文化の醸成や規律の維持に有効です。また、助成金申請時には10人未満でも就業規則の作成届出が求められる場合があります。ネット上にあるモデル就業規則を転用して簡単に作成することはできるようになりましたが、会社にあった就業規則をきちんと作成したいとお考えの場合には、社労士の支援を受けて作成することをお勧めします。

 

・労務管理が負担になってきたとき

【労働社会保険の手続代行】

社会保険、労働保険ともに加入要件を満たす従業員の入社や退社のタイミングで手続きが必要となります。出産、育児、労働災害、私傷病、介護などの各場面で手続きが必要となります。これらの手続きを行う状況が無くても、社会保険は算定基礎届を、労働保険は年度更新をそれぞれ年一回提出する必要があります。社労士に依頼をすることで、書類の作成提出だけでなく手続き漏れを未然に防いだり提出書類の管理も行いますので、経営者は本来業務に注力することができます。

【給与計算の代行】

給与計算は社労士でなくても代行できる業務です。しかし、給与計算には労働基準法や最低賃金法などのほか、健康保険法や雇用保険法などの労働社会保険諸法令が適正に適用されている必要があります。また、就業規則や賃金規程で定められたルールを正しく運用する必要もあります。給与計算の業務範囲と社労士の業務範囲は多くが重複しており、社労士に依頼するメリットの一つと考えられます。給与計算をアウトソースすることで、経営者や管理部門のリソースを必要業務に集中させることが可能になります。

【労務相談】

相談役としての社労士の業務です。人にまつわる悩みを持たない経営者はほとんどいないのではないでしょうか。いまはひとりでも、将来的に人を迎え入れて事業を大きくしたいということでも構いません。その悩みや不安を相談するために、社労士を活用していただきたいと思います。

若生社会保険労務士事務所では、企業のスタートアップ支援に関する課題の解決に最適なサービスをご提案いたします。ぜひご相談ください。